心ゆくまで崖っぷちで読む本

中小企業診断士(登録予定)の読書ブログ

【読書461】恐竜まみれ―発掘現場は今日も命がけ―

dmmブックスより。

愛好家の間ではダイナソー小林、研究者同士での愛称はファルコン・アイ。恐竜研究の第一人者である考古学者小林快次先生。

大量の書類による申請手続き、予定通りには飛ばない飛行機、今にも落ちそうなヘリコプター、キャンプの周辺を徘徊するクマ…、数々の試練を乗り越えて、目指すは発掘現場、恐竜化石な日々を描いた冒険エッセイだ。

いつもは化石を見て「これは○○という種類の仲間で、これまで発見されている場所は○○。世界的にも非常に貴重な化石と言えるでしょう」などと科学的な感想を述べるのが仕事だ。対して、「化石コレクター」の発言の基準は、自分にとっていかに綺麗か、いかにレア物かというところにあると思う。「化石コレクター」のモードになってしまうと、出て来るのは「スゲー! カッケー!」という感想になってしまう。

この人すごく信用できる感が伝わるだろうか? 恐竜がなんで好きなのかなんて、スゲー!カッケー!が真理だと思う。

敢えて言おう。もし進化の研究をしたければ、恐竜を研究する必要はない。いま生きている生物を対象にするほうが、観察もデータ獲得もうんとしやすいはずだ。

この方にとって、恐竜研究は結果なのだろう。 恐竜好きで化石が好きで発掘したり収集したり観察した結果、新事実が分かる。 純粋に、何かに夢中になれるのは凄い。

恐竜博2019の話が出てくるが、開催前に読みたかった。 2019は言ってないので、代わりに他の恐竜博のパンフレットを改めて眺めている。

クレイジージャーニー繋がり。

insolble.hatenablog.jp

洞窟オジさん

洞窟オジさん

電子書籍アプリとしてはKindleの方が使いやすい気がするが、慣れの問題もある。今のところストレスを感じるほどではないかな。

現段階でなんとなくKindleの方が優れていると感じているのは、下記。

ハイライトの使い勝手 シリーズ物でない場合に書籍を開くのがワンクリック *電池の減りが少ない?

機能的に使いこなせていないだけな気もする。 読んでばかりで、感想アップに繋がってないけど、読んではいるのでゆっくりアップして行きます。

【読書426】復活の日

復活の日

復活の日

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video

コロナ禍で読みたい過去の名作。

書かれたのが1960年代半ば、舞台が1970年代だから、当時としてはちょっと先の未来を想像したサイエンスフィクション。

後書きによるとコンセプトは細菌戦であるらしい。

火星探査の結果もたらされた病原は、異常な増幅速度、致死率、また侵入後には消えて検出できないという特性から、生物兵器として研究されていた。 病原が流出し、世界を圧巻し、人類が死に絶える過程を描き、また、人類が激減した後の世界での人類の生き残りをかけた決死作戦を描く。

感染後、あまりに早い死(しかも突然死)ゆえに、社会の機能は麻痺していき、対策を進めるマンパワーが失われていく。

日本の首脳部が緊急事態宣言を検討するなど、最近どこかで見たような場面もあり、本作が半世紀も前に書かれたと思うと感心する。

死が世界を包み込み、結局最後に残ったのは、南極に住む1万人ほどの人類であった。

無慈悲に蔓延する死、もたらされる社会不安、暴動は、コロナの蔓延する一部地域では現実になったシナリオだ。

小松左京は、今(未来)を知っていたのではないかとオカルティックな疑惑を持ちたくなってしまう、予言書のような作品だった。

死に瀕してもラジオで講義を流し続けるシーン、なんとなくミストを思い出した。

insolble.hatenablog.jp

新型インフルエンザ流行最悪のシナリオを物語調で記した本。 insolble.hatenablog.jp

上記をベースに、パンデミック後の世界が描かれている短編を収録。 個人に焦点があてているし、「復活の日」に比べると平和。

insolble.hatenablog.jp

その他パンデミックinsolble.hatenablog.jp

【読書383】Newton 恐竜の時代 武装恐竜から羽毛恐竜まで

子供にせがまれて結局二回見るはめになったこれ。

大人としては不満たらたらだったんだけど、始祖鳥的なものがテーマだったようなので蔵書から始祖鳥、恐竜と鳥の狭間の時代に触れていそうなものをピックアップして読んでみた。

とはいえ、始祖鳥を論じた本ではなく、様々なテーマで恐竜を紹介したショートサイズの恐竜図鑑に近い。 比較的よく分かっている恐竜たちが時代順に17種並べられており、最後はティラノサウルスで終わるのが、万人向けによくわかった人が選んでいる感がある。

一番最初がコンプソグナトゥス。 現生のニワトリサイズ、小型の羽毛恐竜だ。 恐竜には羽毛があるのが近年の主流のように思っていたのだけど、コンプソグナトゥスはウロコな種類もいたようで。 なんとなく、羽毛恐竜はチョコボみたいでかっこ良くないと思っている派なので、ウロコ恐竜の話を聞くと嬉しくなっちゃう☺️

アロサウルスの項目には科博の真鍋先生のお名前があった。 上野の国立科学博物館で音声ガイドを借りると、様々な研究者の方の解説が聞けるのだけど、真鍋先生の解説が大好きだった。

アロサウルス、スピノサウルス、と全体に自分の子が好きな恐竜が多い。 冊子であれば子供用に欲しいかも。

羽毛恐竜と鳥の間としてはモノニクスも掲載されている。 どちらに分類するかは、研究者間でも意見の分かれるところらしいけど…。 そもそも羽毛恐竜と始祖鳥の定義の違いってなんなのかしら?

iPadで読むには字が小さいのだけど、レイアウト(文字と絵の位置)が統一されているのでかくだいしながら読んでもあまりストレスには感じなかった。

ドラえもんの映画だったら、「映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険」が圧倒的に面白いので、ぜひ。

【読書371】極北に駆ける

これも一度は挫折した本。初っ端に嫌にならなければある程度は頑張って読むのだけど、どうやら5-7割くらいのところで挫折する傾向にある。

新装版 極北に駆ける (文春文庫)

新装版 極北に駆ける (文春文庫)

この本に関しては挫折した理由も覚えている。覚えているだけに、読了を目指すか躊躇った。 端的にいうと、書き手の性格がね…、である。

解説の大島育雄は次のように書いている。

自分はこういったことをしてきた、できる、という強いアピールがないと、次の冒険への扉を開くことができません。

人の好き嫌いにはとりあえず目をつぶって読み切った後に、目にしたこの解説が一番の理解の助けだったかもしれない。

内容は南極横断という大きな目的へのステップとして、エスキモー達の北極圏を独り、犬橇で走破した冒険記である。 うーん。自分でもびっくりするほどハイライトしていない。 唯一がキビアに関する下記である。

ターツガの指さすほうを見ると、なるほど腹をぬいあわせたアザラシが一頭ころがっている。皮下脂肪だけを残したアザラシのなかには、黒い羽毛がついたままのアパリアスという小鳥が四百羽ほどつめこまれているのだ。奥さんはかたく凍ったアザラシの腹を裂き、アパリアスをとり出してわたしてくれた。凍ったアパリアスがだんだんにとけていくにしたがって、ブルーチーズのような強烈な臭いが部屋中にひろがってゆく。糞の臭いに似ていないこともない。私はゴクリとのどをならした。これがじつにうまいのである。私はアパリアスを両手でつつみ、冷たいのをガマンして臓物がとけてくるのを待つ。手でおさえてやわらかくなったところで、アパリアスの肛門に口をあて、手でしぼり出すようにして中身を吸うのだ。ちょうど冷たいヨーグルトのような味の赤黒い汁が口のなかいっぱいにひろがり、なんともいえないうまさだ。中身が終わると羽毛をむしり、皮や黒く変色している臓物、肉と食べてゆき、最後に頭を歯でくだいて脳ミソを吸う。口のまわりは黒い血でベトベトである。アザラシの皮下脂肪の浸透したアパリアスほど臭いが強く、うまい。私が日本に帰って一番食べたいと思ったのは、鯨の皮でもアザラシの肝臓でもない、このキビアであった。今でも月に一度くらいはこのキビアの夢を見る。

長々とした引用になったが、キビアは食べるのに勇気がいる食べ物のトップランクだ。味を含めて詳細に書かれているのはそこそこ珍しい。

植村が旅してから40年。地球温暖化や文明化の影響をうけ、彼が旅した極地はもうない。

北極探検だったらこれが一番好き。 insolble.hatenablog.jp

【読書368】Newton 「有袋類」の不思議な生態

Newton。短めのものから処理してるけど、まだ何冊もある。

Newton 「有袋類」の不思議な生態

Newton 「有袋類」の不思議な生態

有袋類って何なのか実は知らないよなーと。 おなかに袋があって、袋で子供を育てるカンガルーやコアラのなかま。オーストラリアにいる、みたいな雑なイメージしかなかった。

有袋類と真獣類(胎盤をつくる哺乳類)はかなり古い段階、1億2500万年前には分岐してる。 哺乳類の約5%250種は有袋類で、主にオーストラリアと南北アメリカ大陸に生育。 収斂進化の結果、真獣類と類似の形状、生活様式の多数の有袋類がいる(またはいた)が、多数の地域では真獣類との競争に負けて絶滅した可能性が高い。 (脳のサイズも関係している?)

進化生物学は楽しい。 わずか12ページなのに、知らなかったことがたくさんあり、非常に良かった。 今度、子供に読んでみよう。

insolble.hatenablog.jp